星座の三回目は、「矢座(Sagitta)」です。
やっと、弓矢そのものが出てきました。ちなみに「弓座」というのはありません。
今の季節(9月)、南の空85度ぐらいの位置(ほとんど真上)に見えます。と、いうよりも「夏の大三角形」の中にあります。その「夏の大三角形」は三角形の中心が天頂(真上)にあるような形で見られます。
覚えていらっしゃいますか?「夏の大三角形」。
確か小学校で習ったような、かすかな記憶が・・・。
おさらいしてみましょう。
「夏の大三角形」とは、白鳥座のデネブ、わし座のアルタイル(牽牛星)、こと座のベガ(織女星)を結んで出来る、夏の夜空の大きな二等辺三角形です。どの星も1等星。明るくてよく見えるので、すぐ分かると思います。
矢座はデネブとベガを結んだ線に平行で、アルタイルを頂点にした三角形の上四分の一ぐらいのところに少し暗い四つの星(2等星二つ、3等星二つなので環境が良くないと見つけにくいかも)が細長いYの字にならんでいます。矢の向きはベガ−−>デネブ向きです。
文章だとわかりにくいですね。下図を参照してください。
ちなみに「矢座」は全天で三番目に小さな星座です。一番小さなものは「南十字座」いわゆる南十字星。二番目は「小馬座」です。
【神話】
この星座は、ペルシア、ヘブライ、ギリシア、ローマなど多くの土地で矢として見なされていて、それらの文明に由来する様々な物語があります。
1 愛の神エロス(キューピッド、クピド)の矢
エロスはビーナスの子供で、まるまると太ったバラ色の体には翼を持ち、いつも矢筒を下げて手には弓を持って飛び回っています。(絵によっては美少年として描かれているものもあります。)矢筒には黄金の矢と鉛の矢が入っています。そしてときどき持っている矢を弓につがえて放ちます。黄金の矢が当たると、それが神様(ゼウスでも)でも人でも、そしてエロス本人でもたちまち恋の虜になってしまいます。一方、一緒に持っている鉛の矢が当たると炎のような恋も一度に醒めてしまいます。
嬉しいような怖いような、どちらにしても、はた迷惑な話です。
その二本の矢のうち、黄金の矢。
2 ヘラクレスの矢
天界から火を盗み出し人間に与えたプロメテウスが、それを怒ったゼウスにカフカス山上の岩に鎖で繋がれ、毎日鷲に肝臓(神様なので一晩で再生する)をついばまれて苦しんでいるところに来合わせたヘラクレスが、その鷲を射るために使ったもの。
3 ゼウスの矢
オリンポスの神々が巨人族と戦ったとき、キュクロプスの作った矢を使いの黒鷲がゼウスのもとへ運んできたもの。
4 アポロンの矢
キュクロプスが作った電撃の矢で息子のアスクレビオスがゼウスに撃ち殺されたのを恨んで、アポロンがキュクロプスを撃ち殺したもの。